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三万人の命
個人的なことで、かつ、悲しいことで申し訳ないのですが。。。
以前から親しくしていた看護師さんが亡くなられたと、知らせがありました。
自死でした。
(「自殺」という言葉にわたしはどうもなじめなくて、自死と言います)
とても優秀で、まじめすぎるくらいのひとでした。
「うつ」に苦しんでいたとのことでした。
わたしはこれまで、大学の先輩、叔父、一緒にはたらいていた看護師さんなど、数名のかたと、自死によるお別れを経験しました。
また、札幌で勤務医をしていたときは救急病院でしたので、年に数十人は、自ら命を断とうとしたかたが運ばれて来ました。
今思えば当時は、多忙な日常の中で、一つ一つの「いのち」の行方をやり過ごしていました。
ご存じのかたも多いと思いますが、日本では自殺者が1998年に急増し三万人を超え、以来続いています。
この背後には、10倍もの「自殺未遂者」がいると思われます。
自殺は、決して他人事ではありません。
亡くなられた看護師さんとは、ここ数年は年賀状だけのお付き合いで、わたしが彼女の助けになれたわけもありません。
ニュースに流れる「三万人」は、ただの統計数字ですが、その中に、彼女のいのちがある。
ひとつひとつのいのちには、家族や友人の悲しみが付き添っている。
そんな思いで、昨夜は彼女のことを考えました。
2011-02-16 12:41 PM
小さな男の子からのお贈り物
当クリニックでは、訪問診療を行っています。
訪問先は、ご自宅やグループホーム、高齢者下宿など。
現在、60数名の方が訪問診療を利用されています。
一人暮らしのかた、ご夫婦二人暮らし、娘さんと二人暮らし、などなど暮らし方はさまざまです。
先日伺った訪問先は、長男ご家族との二世帯住宅。
4歳くらいの男のお孫さんがいます。 いつも元気いっぱい。
わたしたち(看護師とわたし)が帰ろうとしたとき、お孫さんが小さなかばんを手に玄関へやってきて、「お土産、お土産!!」と言います。
「心の汚れた大人」のわたしは、「お土産を頂戴」と要求しているものと思いましたが、さにあらず。
彼はかばん中からキャンデーと取り出し、「お土産!!」と言って、わたしたちに渡してくれるのです。
おばあちゃんである奥さんによると、彼は最近、いろんなひとに「お土産」をあげて、喜んでもらうことに夢中とのこと。
こんな小さな子にも、ひと何かしてあげる喜びがわかるんですねえ。。。。
おばさんは本当に感激しました。
ケンちゃん(仮名)
その優しい気持ちをいつまでも大切にしてね